過去をたどり、記憶をほりおこす物語。
静かな展開ですが、目が離せません。

大学生の水帆は、人との距離がいまいちうまくつかめない女の子。
そのため、誰とも親密につき合わない。
なにごとも、合理的に処理しようとする傾向がある。

その水帆のもとに、高校時代のクラスメイトの訃報が。
そのクラスメイト・折口はるかは、とても地味で孤独な少女。友達がいなかった。
しかし、なぜかはるかの母親は水帆を親友だと思いこんでいた…。

そのことがきっかけとなり、水帆ははるかに興味をもつ。そして、彼女の母親に、はるかがつき合っていた男を探して欲しい、と頼まれる。
はるかは地味な少女で、男とつきあっていた様子など微塵もなかったのだが、じつは彼女は高校時代に妊娠・堕胎をしていたようなのだ。
水帆は驚き、当時のクラスメイトたちを訪ね、彼女の過去をたどり始める…。

大ヒット作「砂時計」の芦原妃名子さんの新作ですね。
話題の作家さんなのに、じつはわたし、彼女の作品を初めて読んだのです……。
とてもおもしろいですね。物語にひきこまれました。

主人公の水帆は「カワイくほがらか」というわけではなく、感情表現にとぼしく、少々打算的なところもあったりする。
そんな彼女が、ひとりの少女に興味をもつことで、少しずつ変わっていく。過ぎてしまった時間に色がつきはじめるのと同時に、自分自身も変化していくのです。

もちろん、プライバシーを「暴く」ということもあり、クラスメイトには波紋が広がります。
しかし、ていねいに過去をたどることで、彼女の生きた「声」が聞こえてくる。水帆には、それがかけがえのないものに思えてくるんです。
協力を申し出る先輩も現れ、じょじょに水帆ははるかに近づいていきます。

Pieceとは、パズルの欠片のことだそうです。
ひとつずつ、はめていく。
亡くなった「はるか」を、「構成」する。
その先に、いったい何があるのでしょうか……。

静かな物語なのですが、登場人物の個性や歩みがあざやかに描きわけられていて、飽きません。
展開が読めず、つづきを早く読みたくなりますね。
でも、不定期連載なの?
う~ん。次巻、早く出てほしいな~。